前人未到の永世七冠 絶えずリスクを取って挑戦 

将棋の竜王戦七番勝負を制し、史上初の永世 七冠を達成された羽生義治さんをご紹介します。
将棋の世 界にもタイトル戦があり、そこで優勝すると○段という呼び名ではなく、特別に○○名人などのように呼ばれます。現在、将棋の世界にはその称号が8つあります。これまでは、竜王、名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖の7つでしたが、 今年から叡王戦のタイトル戦が追加され、現在は8つの称号が存在します。
この新しく追加された叡王戦以外は「永世称号」というものが制定されています。これは同じタイトル を一定回数(永世竜王の場合、連続5期または通算7期)獲得した棋士に与えられます。
それだけ永世称号を一つ獲るだけでも大変なことです。その上で、羽生さんの永世七冠 は前人未到の凄いことだとお分かり頂けると思います。 羽生永世七冠は、1970年生まれの47歳。小学一年生より 将棋を始め、史上3人目となる中学生プロ棋士となりました。 デビューからの実質初年度には、全プロ棋士中の1位の勝 率を記録し注目されていました。1996年26歳当時には、将棋界で初の上記7タイトル独占を達成、そして、今回の永世 七冠の偉業達成となりました。 さて、今回達成された「永世七冠」と、1996年の「七冠王. 難易度ではどちらが難しいのでしょうか。21年前の「七冠 王」はいわば瞬間の輝きです。その時の実力と勢いが上手く噛み合ったことで7つのタイトルを同時に制覇できた、という性質のものです。
それに対して今回の「永世七冠」 は、瞬間ではなく積み重ねによる偉業です。常に同一タイトルを連続で持ち続ける、もしくは獲得を続けない限りはなしえないことです。
そもそも、約140人がひしめくプロ棋士の中で、タイトル戦の挑戦者になること自体が棋士人生で数回あるかという将棋界において、タイトルに挑戦し続ける、さらに 獲得、防衛し続けることは尋常ではありません。
羽生永世七冠は、これまで名人位を失った年には他の棋 戦でタイトル防衛,奪取に成功するというように、大舞台,大 勝負においてタイトルを失ったかわりに得たモノで、その後 タイトルを獲得することが多く見られます。常にリスクをとって、 仮にタイトルを失っても、そこでの経験が次へのステップになる。この羽生スタイルが永世七冠を達成した秘訣と言えま そんな羽生永世七冠の名言を一つ。

「ビジネスや会社経営でも同じでしょうが、一回でも実践してみると、頭の中だけで考えていたことの何倍もの学びがある」