大晦日には必ず登場する除夜の鐘。108という数字は煩悩の数以外にもいくつか説があります。
一年と二十四節気と七十二候。今回は季節を表した言葉が足し合わされたという説についてお話していきます。
クリスマスも過ぎ、冬期休暇を目前に今年のやり残しのないよう仕事をこなしている方も多いのではないでしょうか。できることは年内に済ませ、新たな年を気持ちよく迎えたいですよね。
さて、皆さんは大晦日から元日にかけてどのように過ごされるでしょうか。
最近は紅白歌合戦のスマートフォンアプリを入れておけばお目当てのアーティストの出番前に通知が来るので、私自身もそういった時代の便利さにありがたく便乗しつつ年越しを楽しんでいます。
昔は家族で除夜の鐘をつきに行き、お参り、そして甘酒をいただきながら自宅へ戻るという過ごし方をしていました。
大晦日の夜、鐘をつく回数が108回である由来として広く知られているのは煩悩の数であり、鐘をつくことでその煩悩を払うというものです。
他にある説としては、一年と二十四節気と七十二候をそれぞれ数字とし12+24+72=108が由来であるというものもあります。一年は十二ヶ月からきていますが、二十四節気や七十二候と言われてもピンとくる方はそう多くないかもしれません。
二十四節気とは1太陽年を24等分し、その分割点を含む日につけられた季節の名前です。
ちなみに太陽年というのは太陽が春分・秋分の分点、夏至・冬至の至点から出てそれぞれの点に戻ってくるまでの周期を指します。うるう年という暦のずれもあることから1太陽年は「大体1年」といったところでしょうか。
太陽年を基準としていることからもうかがえるように、二十四節気は春分や秋分、夏至や冬至など私たちの身近にあるものです。カレンダーに記載のあるものからあまり聞いたことのないものまで、それぞれ季節の移り変わりを表す24の言葉が太陽の動きに合わせて付けられています。
そして、より聞きなじむことの少ない七十二候。七十二候とは二十四節気を約5日ごと、3つずつに分けた期間とされています。
例えば2018年では3月21日となる立春、初候には「雀始巣(スズメが巣を作り始める)」次候には「桜始開(桜の花が咲き始める)」末候では「雷乃発声(遠くで雷が鳴り始める)」と分かれています。
このように二十四節気それぞれに3つずつ季節の動きをしたためたものが七十二候です。
個人的には冬至を分けたものが最も好きなのでご紹介致します。
初候は「乃東生(夏枯草が芽吹く)」次候は「麋角解(大鹿が角を落とす)」末候では「雪下出麦(雪の下で麦が芽吹く)」となっています。
冬至は太陽の出る時間が最も少ない、つまり一年のうちで昼が最も短い日です。そんな寂しい気分になってしまいそうな期間の七十二候が春を連想させるものであることは、厳しい冬の先に雪解けがあることを気付かせてくれる素敵な役割のように感じられます。
七十二候は古代中国で考案されているので、一部馴染みのないものもありました。そこで日本に取り入れられたのちに何度か名称が変わっていった結果、現在は明治7年の略本暦に掲載された七十二候が使用されています。
古代中国の雅やかな質感を残したまま、移ろっていく日本の風土を表した72の言葉はどこか懐かしさを覚えるような美しいものばかりです。厳かな一年の締めくくりに季節の移ろいを表した言葉に触れてみるのも乙なものですよ。
本年も御愛顧いただき、誠にありがとうございました。来年も相変わらぬご高配を頂けますよう、弊社一同心よりお願い申し上げます。来る年が、幸多き一年でありますようお祈りいたしております。
それではよいお年をお迎えください。