少しずつ寒さが和らいできているように感じるこの頃、スーパーには旬の食材が並び、春の訪れを知らせてくれていま す。春の旬の食材と言えば、ふきのとう、なのはな、たけのこ、春キャベツなどほんの短い期間にしか味わうことができない食材がたくさんあります。

冬の間じっとエネルギーを蓄え生命力が溢れているため、栄養価の高い食材が多いようです。

日本のことわざに”春の皿には苦味を盛れとありますが、この「苦味」とは春野菜のことを意味します。

“春の食事には春の野菜を食べましょう”とのことわざのとおり、春の食材には苦味のあるものが多いという特長があります。
その苦味は季節を味わうだけでなく、私たちの体に良い効果をもたらしてくれるようです 春野菜が特有の苦味を持つのは昆虫などの外敵から身を守るためとされています。
その苦味のもととなっているのは植物性アルカロイドという成分です。この植物性アルカロイドには私たちの腎臓のろ過機能を向上させ、新陳代謝が衰える冬の間にため込まれた老廃物を体の外に出してくれる解毒作用の働きや、活性酵素を取り除き老化を遅らせる働きがあります。

苦味のある春野菜には、ビタミンCも豊富に含まれており、美肌効果や、風邪予防などにもつながります。冬太りが気になる方や春の紫外線に当たった肌が気になる方、季節の変わり目で体調を崩しやすい方にまで、まさに今しか食べられない自然のサプリメントです。
苦味が苦手という方もおられることと思います。苦味の強い野菜は衣でおおって高温で揚げることで苦味が抑えられて食べやすくなるそうです。
どの春野菜もそれぞれ適したアク抜きをし、水によく晒してから料理するのがポイントだそうです。さあ皆さん苦い春を味わいましょう。

最近は「食育」が注目されブームとなっていますが、今から 100年以上も前の明治時代に日本で初めて「食育」という言葉を使い、食の大切さを説いた食育の租と言われている食医、石塚左玄の言葉に「春苦味、夏は酢、秋辛味、冬は油と合点して」という言葉があります。

春は苦いものを食べ、冬の間に蓄積した脂肪や老廃物を排出して胃腸の働きを整える 夏は酢で食中毒を予防し食欲を増進させる秋は辛味で夏場に緩んだ身体に刺激を与える、冬は寒さに備えて皮下脂肪を備えるために油を摂るという意味です。

四季のある日本に住む私たちは、その季節に合わせた食事を摂ることの大切さを改めて知る必要があるのではないでしょうか。