2017年も残りわずかとなってまいりました。最近は年賀状を送る方が減少していると聞きますが、皆さんは今年の干支を覚えていらっしゃいますか?また、干支に関わって「向かい干支」というものをご存知でしょうか。

この時期になると書店にも来年のカレンダーや手帳が増えてきて、年々機能性や見た目の質が上がり続けているおかげでつい決めあぐねてしまいますね。私は外では日記帳とスケジュール帳がひとつになった手帳、自宅ではキャラクターのカレンダーを愛用していますが、最近はスマートフォンでスケジュールを管理している方をよく見かけます。手のひらひとつで予定を組み替えていくあのスタイリッシュさにはやはり憧れを抱きますね。「できる人」を思わせる所作やデジタル化の進む時代への順応性の高さなど魅力的な部分は多いものの、紙という素材をめくる心地よさやお気に入りのペンで書き込むときのわくわく感を思うと来年も紙のカレンダーや手帳からは離れられそうにありません。

年の変わり目といえば、スマートフォンを持つようになってからすっかり年賀状とは縁遠い年末年始を過ごすようになってしまいました。その上、日常で思い出す必要性が薄いこともあるのでしょう、その年の干支すらはっきりと分からないことが増えています。
干支と言えば「向かい干支」というものがあることをご存知でしょうか。
向かい干支を知るのは簡単で、時計回りに十二支を並べて自分自身の干支の向かいにある干支がその名の通り向かい干支となります。例えば2018年の干支である戌年の向かい干支は辰年となります。
自分自身の干支にはない性質を持つ向かい干支を身に着けることで相対する気質の力を得られるとされており、現在でも着物の柄や小物に向かい干支をあしらう噺家さんや俳優の方もいらっしゃるようです。先ほどの例を用いると、戌年の方は龍をモチーフとしたものを身に着けることで本来持ち得なかった力を得られるということになりますね。また、自分の持たない気質を持ち、お互いにない部分を補い合えるという意味で向かい干支の人とは相性がいいとも言われています。
そして高野聖などを代表作とする文豪、泉鏡花は自身の向かい干支のうさぎにちなんだものを収集することを好み、着物やマフラーにもうさぎ柄を取り入れていたそうです。文学賞の名前にもなった文豪がうさぎグッズをコレクションしていたと思うとかわいらしい印象を抱きますね。金沢市の泉鏡花記念館で販売されているグッズの中にもうさぎのモチーフがあしらわれたものがあり、昨今の文豪ブームも手伝って向かい干支自体も再び知られるようになってきているように感じられます。

戌年の2018年、雑貨店でも犬モチーフの取り入れられたグッズが増えつつありますが、あえて自分の向かい干支をあしらったものを身に着けてみるのも粋でよいのではないでしょうか。もしもカレンダー選び、手帳選びに加えて年の瀬へ向けた選ぶ楽しみが増えたならば幸いです。良い縁を運んできてくれるよう、素敵な持ち物とともに新年を迎えたいですね。