綺麗に秋らしく色づいていた街路樹の葉もすっかり落ちて目にも寂しい季節です。落ちた葉が冬の到来を感じさせてくれますが、この街路樹の種類を気にしたことはありますか?今回は国内にある街路樹の本数ベスト3についてお話していきます。
街路樹とは道路環境を保つため、また景観の向上や歩行者へ日陰を与えるためなどの理由で道路に沿って植えられた樹木を指します。
法律上は道路の付属物なので車の排気ガスへの耐性が強く、通行する人の視界を遮らないように剪定を繰り返しても耐えられる品種が主に植えられています。
さて、日本で植えられた街路樹の本数のランキングはご存知でしょうか。通勤ルートやお散歩コースで見かける街路樹の姿を思い出してみてください。
3位はケヤキ、黄色や赤色へ移り変わる紅葉が綺麗な樹木です。木目や光沢の美しさから木材としても値の張るものとなっています。
2位はサクラ、サクラと言ってもその仲間は驚くほど多いためサクラ類と言った方がいいでしょう。
冬の終わり頃から芽が出ているのを見て春を思い、花が咲けば無条件に幸せな気分になる方も多いのではないでしょうか。そして夏に青々と茂った葉が秋にかけて赤く色づいていく様は年間を通して私たちに癒しを与えてくれます。
ちなみに日本のサクラの多くを占めるソメイヨシノはソメイヨシノ同士での種子を発芽させることができない品種なので、そのすべてが人の手による接ぎ木や挿し木によって増やされています。
そして本数の多い街路樹、1位はイチョウです。学校などにも植えられ、子供の頃にあのすべすべした金色の葉を手にした方は多いと思います。
この記事を書くにあたって自宅近くのイチョウ並木を歩いてみたり、昔を懐かしみながら葉遊びをしてみました。イチョウの葉で蝶々を作ってみたのですが、そもそもイチョウの葉に触れること自体が久々で故郷を懐かしむいい機会になりました。
なぜイチョウが最も街路樹として好まれているか、それはやはり葉の美しさと剪定への強さと言えるでしょう。
寂しげな色を帯びていき落葉する他の樹木とは異なり、イチョウは黄金色のまま葉を落とすのが印象的ですね。イチョウ並木の傍を歩くと花言葉である「荘厳」にも納得がいきます。ちなみに、イチョウは「荘厳」の他に「長寿」「鎮魂」といった花言葉も持っています。
さて、イチョウの優れている点は他にもあります。それは燃えにくいことです。火に強いということは火事のときに燃え広がり周囲へ被害をもたらす心配も少なく、樹木としてはこれ以上ない特性ですよね。
しかし、燃えにくいイチョウの葉は集めて焼却する際に手間がかかるそう……。燃えにくいという長所も立場が変わって裏を返せば短所となってしまうこともあるようです。
そして昔からイチョウの葉には防虫効果があると言われており、しおりとして本にはさんだり着物の上に置いたりと私たちの暮らしを彩りながら助けてくれる存在でもあります。
街路樹の最初の目的として「人の行き来する往来に樹木があれば木陰で休むこともでき、飢える人はその実を食べられる」という目的があり、そこから実を結ぶ樹木が少しずつ植えられていき、目的を同じくして行政も樹木を植える活動を進めてきました。
未だ目的の芯を歪めることなく1000年を超える歴史を積み重ねてきた街路樹、通勤や散歩ついでにその歴史を感じてみるのはいかがでしょうか。