昨年12月14日、米国はインターネット業界において非常 に重要な決定を下しています。

 

米連邦通信委員会(FCC) は、通信会社などインターネット接続会社(ISP)にコンテンツの流通を平等に扱うよう義務付ける「ネット中立性」と呼ばれる原則の撤廃を決定しました。

ネット中立性とは、「インターネット上のデータは全て公平に扱われるべき」という考えを指します。この原則の撤廃により、通信会社やネット接続会社(AT&Tやコムキャストなど通信·CATV会社など) は特定サイトへのアクセスを高速化するような施策を取りつつ、一方で、別のサイト、コンテDJ向けの通信を遮断したり、アクセスの速度を遅くしたりできるようになります。たとえば、ネットの帯域(通信速度,通信容量をより多く消費するような映像配信コンテンツを視聴したければ専用の高額な回線プランを利用することが今後必要になるといった感じで 今後、通信事業者に有利な体系が組まれやすく、反対に 非通信業者系の企業はサービスの見直しや、料金システムの改定を余儀なくされる可能性があります。

大手ネット企業のグーグルやフェイスブック、アマゾンドットコム、ネットフリックスなどが加盟するインターネット協会は「ネット接続会社はその立場を利用してウェブサイトやアプリを差別してはならない」とネットの中立性の維持を求める声明を発表しています。 中立的なネットの世界では、資本や事業の規模が小さなコンテンツプロバイダーやベンチャー企業でも、消費者が 気に入るコンテンツを作ることさえできればアクセスを大規模に集めて収益を拡大できます。近年、この手で急成長したのが、グーグルやアマゾン、そしてフェイスブックといっ た米ネット業界の大物です。
一方、こうした「大物サイト」向けの通信量が急増し、設備投資負担が重くのしかかっていた通信会社からは中立性の原則に対して以前から不満の声が出ていました。
今回、米国では通信事業者寄りの判断をしたようです。米国ではYouTubeやNetflixのようなネット帯域消費の激しい サービスは通信事業者によって何らかの規制,負担が始まるかもしれません。
また、そうした動きは普及しつつある動画 広告などにも影響が出る可能性もあります。ただ、今回の中立性撤廃によって、ネット業界の世界地図はそれまでの米国企業の圧勝から、台頭する中国勢(テンセント、アリババ) などのネット企業が攻勢を強くする転機になるかもしれません。