2015年、日本を訪問する外国人観光客数ははじめて 2000万人を突破し、今もなお増加傾向にあります。

 

安倍政権では観光市場の拡大を背景として、2020年までに訪日旅行者数を年間4000万人に増やし、「稼ぐ観光」という政策を打ち出しました。

豊富な観光資源をもつ日本ですが、文化財や自然観光だけではお金を落としてもらえないのも事実です。2016年の訪日外国人旅行消費額のうち、「娯楽サービス費」は全体の3% (4275円)で、この数字は世界的にみても少なく、外国人訪問者数が日本は世界16位の上位に対して、一人訔たりの消費額は世界44位と低迷しております。そんな中、外国人の消費を増やすための強力な打開策として注目されているのが「ナイトタイムエコノミー」です。

ナイトタイムエコノミーとは、「アフターファイブ」と称され、夕刻から翌朝までの経済活動の総称で、飲食店、音楽や パフォーマンスを提供するライブハウス、ダンスクラブ、劇場 などを夜間に開き、夜間の消費を増やそうという動きです。 世界ではすでにこの産業が進んでおり、特にイギリスでは、1990年代に中心街地の衰退が進んでいましたが、ナ仆タイムエコノミー事業を始め、ミュージカルは夜8時からと遅めの開演、美術館でも夜12時までイベントが行われ、芸術を楽しみながらお酒も飲めます。
また24時間化された地下鉄など国を挙げてナイタイムエコノミーを推進した結果、年10兆円の経済規模に達しました。当然、働く人も増えるので雇用面でもプラスの影響が見られ、経済規模や雇用者数は今後さらに拡大すると予測されています。
日本でも2017年4月には仆タイムエコノミー創出推進議員連盟」が設立され、2016年の風営法改正により規制が緩和されたことで参入障壁も低くなり、夜間でのサービスを展開し始めた企業が増えつつあります。夜の時間帯がメインであるためにマイナスイメージを持たれがちですが、各国の訪日外国人に「日本旅行で不満だった点は何ですか」という質問に対し、「夜間帯の観光がない」に不満を抱くが7位となっています。
訪日外国人が夜間の観光に不満を抱いていることは、言い換えれば夜間の観光にニーズがあるということであります。 ナイトタイムエコノミーは、「夜は寝るもの」という価値観に長らく囚われてきた日本人にとって、受け入れがたいことかもしれません。しかしこの事業には、観光振興、地域活性化、経済成長の可能性を秘めており、2020年には4000億円の市場が眠っているとの見方も出ているほどです。
日本の経 済成長について考えるうえでは、「夜の経済」を無視するわけにはいかないのではないのでしょうか。