昨年末、各報道紙で「日本のATMなどの年間維持費が 約2兆円のコスト」という記事が紹介されていたことは、皆様 の記憶に新しいのではないでしょうか?

日本における現金決済の比率は決済全体の約65%と、先進国の中でも特に現金が扱われています。

ふと身の回りを眺めると、多くの金融機関、コンビニエンスストア、ショッピングモールにはラインナップの揃った各行専用のATMと、よほどのことがないかぎりどこでも現金が引き出せる状態となっています。 日本人は特に現金が好きです。通貨が度々変わった大陸とは違い、島国という地理的有利が侵略を防ぎ、通貨に対する信用が高いことが理由の1つとして挙げられます。

たんす預金も約43兆円と、世界でも稀に見る現金国です。 全国銀行協会によると、ATMの管理維持コストが年間で 約7600億円、そこに人件費などを加えると約2兆円ものコストがかかるとのことで、取り扱い機関は規格の統一化やキャッシュレスの推奨など様々な取り組みでコストを抑えようと努力している、と報じられていました。

さて、世界では高額紙幣廃止の流れが進んでいます。欧州中央銀行は500ユーロ紙幣を18年末までに発行停止することを決定, 200ユーロについても廃止の議論がなされています。
お店などで100ドル紙幣の使用を拒否されるケースを引き合いに出し、米国でも100ドル紙幣の廃止識論がなされるなど、世界各国で動きが出てきている中で、日本の1万円紙幣についても著名経済学者などが廃止すべきとの声を上げています。

脱税や反社会资金への対応 キャッシュレス社会を実現させることが理由として挙げられていますが、一番の理由は「管理がしやすい」というところではないでしょうか?
報道各誌がこぞって報道したのは単にATMに莫大なコストがかかっているということを伝えたかったのではなく、これ から日本でも1万円紙幣について本格的に議論がなされる、又は議論させる方向にリードする為に報道されたのではな いでしょうか?
1万円紙幣について本格的な議論がなされている現況ではありませんが、ATMコストの話などは結び付けるきっかけになります。
グローバルな視点では、他の先進国は、という比較に日本人はめっぽう弱いです。1万円紙幣もその流れに飲み込まれてしまうのでしょうか?