チャーチル元英首相が1931年に発表したエッセイで1980年代までに世界がどうなっているかを予想しています。

その 中で「豚肉や手羽肉を食べるために一匹まるごと飼育するのは非合理的である」などと述べており、ついにその予言が実現間近となっています。

それは肉を低コストで大量生産できる可能性を秘めた「クリーンミート」です。

クリーンミートとは、動物の細胞を抽出し、培養して作る人工培養肉です。クリーンミートを作るのは、動物の幹細胞を採取するだけなので動物を殺す必要はありません。
現在牛肉1kgを生産するのに15klの水を必要とし、温室効果ガスは自動車で100km走行するのと同じ量排出されます。
一方、クリーンミートでは最大99%の土地と96%の水、エネルギー消費量45%、温室効果ガス排出量96%をカットすることが可能です。
また、現在年間約4800万人が食中毒になっていると推定されていますが、クリーンミートは抗生物質配合量が少なく、発がん性物質、多量の抗生物質、サルモネラ菌を含んでおらず、鳥インフルエンザや豚インフルエンザなどの心配もありません。

さらに、人体に有害な化学物質が一切入っておらず、肉の栄養価を変更できる可能性もあることから健康面や衛生面も改善されます。 クリーンミートはまだ販売されていませんが、米国では現在一般販売承認のための安全性の検査や調査が進められており, 2018年中には一般販売される可能性があると米国のニュースメディアCNNが報じています。

一般販売されると、 従来の肉では動物の飼育、加工、輸送のコストが必要だったのに対して、クリーンミートは細胞の培養と輸送だけになりますのでコスト削減が可能です。
さらに1個の細胞から1兆個の大量生産が可能となり、世界中に普及されれば 世界中の肉の価格が安くなることも予想されます。また、現在でも食肉をやめるべきだと主張する動物愛護団体は少なくない中、動物愛護や宗教上の理由で食肉できなかった人にとっても食肉の可能性が出てきます。

今後クリーンミートが 実用化されると動物愛護団体の勢力が強い米国、EUで従来の肉が代替され、その流れが日本にも波及していくのではないしようか。
国連によると2050年までに世界の人口は98億人超になると予測されています。この予測から国際食糧農業機関は2050 年までに60%の食糧生産の増大を必要としていますが、家畜を飼育するためには莫大な土地や水などの資源が必要で、このままだと飢餓に苦しむ人が増加してしまいます。

こういった状況の解決策としてクリーンミートの実用化は必要であり、コスト削減、大量生産、安全面、栄養価の変更など様々な効果をもたらしてくれるのではないでしょうか。