磁石は磁石とくっつくだけでなく鉄ともくっつきます。
それはなぜなのでしょうか。磁石や鉄が持つ性質から、磁石と鉄がくっつく理由をご紹介いたします。鉄には磁石となり得る原子を持っていますが、源氏の向きがバラバラであるために鉄だけでは磁石としては機能しません。
しかし磁石に近づけることによって鉄の中の磁区が反応し、くっつきます。鉄以外にも磁石とくっつく素材はあるのかもチェックしてみましょう。
磁石には、永久磁石と電磁石という2種類があります。それぞれの性質をご紹介しましょう。
永久磁石とはそれ自体が磁石としての働きを持っており、鉄などをくっつける力があるもののことを指します。S極とN極があり、永久磁石同士もこの極に合わせてくっついたり退け合ったりします。
一般的に磁石と呼ばれるのはこの永久磁石です。電磁石は、磁石としての原子は持ち合わせているものの、磁石としては機能しないもののことを指します。物質の中にある分子磁石の向きがバラバラになっているため、これ単体では磁石のようにくっついたりはしません。しかし磁石を近づけることによって磁気が誘導されてくっつきます。
磁石が鉄にくっつくのは磁気誘導が原因
磁石を鉄に近づけると、まるで磁石のように鉄はくっつきます。これは、上記で説明した磁気誘導が関係するためです。
鉄の中に含まれている小さな分子磁石は普段はバラバラの方向を向いていますが、磁石を近づけると分子が整列され、S極とN極が発生します。
磁石にくっついた鉄は磁石と同じようにほかの鉄も引き寄せます。鉄の中でS極とN極が発生しているため、同じように近くの鉄を磁気誘導し、くっつける力を持つのです。
このように磁石と鉄、さらにその鉄と鉄がくっついても、最初の磁石と鉄を離すことで磁力は消え、元通り鉄の中の原子の方向はバラバラです。このように磁化する物質は磁性体と呼ばれます。
磁性体の中にも、「常磁性体」と「強磁性体」があります。また、磁石を近づけると磁石に反発するように離れていく「反磁性体」も存在します。
鉄、コバルト、ニッケルなど、磁石にくっつく力が強く磁化の影響が強いものです。磁性体というと一般的にはこの強磁性体を指します。強磁性体の中でも、磁石を離すことですぐに磁力がなくなってしまうものを軟磁性体、磁石を離したあとも磁力をとどめているものを硬磁性体と呼びます。
常磁性体は、磁石のN極を近づけたときにS極が発生して反対側にN極が発生するというものです。磁石のN極と常磁性体のS極が発生するためくっつきます。しかしくっつく力は弱く、性質によってはくっつかないこともあります。
反磁性体は、磁石のN極を近づけた際にN極が発生し、反対側にS極が発生するものです。磁石の磁場を打ち消してしまうので、磁石として機能することはありません。
N極同士になるため反発し、当然ですが磁石にくっつくことはありません。アンチモン、銅、水、木などがこの反磁性体に属しています。
鉄以外にも磁石にくっつく素材はある
鉄以外にも、コバルト、ニッケルなど磁石にくっつく素材はあります。コバルトは白銀色の金属で、単体として利用されるものよりメッキとして利用されることの多い素材です。
錆びやすい、酸に溶けやすいという特徴があります。 ニッケルもコバルトと同じく白銀色の金属です。こちらはコバルトよりも錆びにくく、単体ではなくメッキとして利用されます。ニッケルを利用して磁石の素材の一部を作るケースもあります。銅、亜鉛などと合わせて合金を作る場合もあります。
合金の中にニッケルが含まれていると、素材としては銅として認識されていても、磁石に近づけることでニッケルが反応することがあります。
コバルトやニッケルは日常生活であまり関わることのない素材ですが、かつて日本の硬貨には大量のニッケルが含まれていたものもあるため、磁石にくっついたようです。
さらにフランスの硬貨、オランダの硬貨などの中には現在でもニッケルが多量に含まれているものがあり、磁石にくっつけることが可能です。
原子磁石を持っていてもくっつかない素材もある
1つ目は、そもそも原子磁石を持っていない物質です。紙やプラスチックなど原子磁石を含まない物質のものは、当然磁石にくっつくことがなく、磁気誘導なども起こりません。
原子磁石を持っている物質でも、磁界の方向がバラバラなものは磁石にはくっつきません。一方向に揃う力がないため、鉄のように磁石にはならないのです。
しかしこの物質の中の原子磁石の方向を無理やりに揃える技術があれば、磁石として機能させることは可能です。